Ein Heftiges Heft

heftig: 1) von starkem Ausmaß, großer Intensität 2) leicht erregbar, aufbrausend (von Duden)

ドイツ語の再帰代名詞の位置について

おはようございます,Мороже です!

広義昨日にブログをせっかく始めたので,軽く一つ記事を書いていきます。

今回この記事では,ドイツ語における再帰代名詞 sich の位置について軽く扱います。(このことについてはドイツ語で検索すると速攻で出てきますが,日本語での正確な説明が全く見つからず,これは絶対初学者が混乱するよなぁと感じ,せっかくまとまった量の文章を書けるブログを開設したのだし,書いておこうと思ったのでそうすることにしました)

概要

再帰代名詞は機能的な側面が強い単語であるため,基本的にはできるだけ左に追いやります。できるだけ左にといっても,主文の場合, V2 の左側(CP-SPEC)は主題を表すスロットなので,ここに再帰代名詞を置くことはしません*1。なので,いわゆる左文枠(die linke Satzklammer) の直後に置きます。

わかりやすく言えば,

  • 主文のとき,再帰代名詞は V2 の直後に置く。
  • 副文のとき,再帰代名詞は 接続詞 の直後に置く。
  • zu不定詞のとき,再帰代名詞は 不定句の最初 に置く。

ということになります。もちろんこれらはただの原則でしかないので,容易に入れかわりうることに留意してください*2

ただし,人称代名詞は再帰代名詞より弱い*3ため,以下のことに気をつけなければなりません。

  • 主語が人称代名詞ならそれを優先させる。

(10. Feb 2023 追記) さらに,与格/対格目的語が人称代名詞なら,「geben のような動詞で人称代名詞の項を 2 つ取るときは対格→与格の順で並ぶ」というルールに従って,

  • 対格人称代名詞 + sich(与格)
  • sich(対格) + 与格人称代名詞

となります。たとえば,

  • Genau so habe ich es mir vorgestellt.
  • Darum habe ich mich dir entzogen.

のようになります。

実践

それでは,実際に文例を見てみましょう。ざっくりと上記で説明した順に用例を並べています。再帰代名詞の部分は斜体にしています。引用元は 1-4 が Alltagsdeutsch の Der Advent und seine Traditionen より,5-7 が Reverso Context です。再帰動詞以外に訳はつけませんので,内容が気になる人は自分で読んでみてください。

  1. Und dieser Brauch hat sich dann in evangelischen Kirchen doch recht schnell durchgesetzt. (sich durchsetzen 広まる)
  2. Im Laufe der Zeit veränderte sich der Charakter des Kalenders. (sich verändern 変わる)
  3. Erst ab der zweiten Hälfte des 19. Jahrhunderts änderte sich das. (sich ändern 変わる)
  4. ...(中略) die ehemalige Gästeführerin Angelika aus Köln, die sich intensiv mit dem Thema „adventliche Bräuche“ beschäftigt hat: (sich beschäftigen 携わる)
  5. Zum Abschluss, Europa braucht neue Energie, um sich um seine Zukunft zu kümmern. (sich kümmern 支える*4 )
  6. Das habe ich mich auch schon oft gefragt. (sich fragen 疑問に思う)
  7. Ich wusste nicht mal, dass sie sich auf derselben Erdhälfte befindet. (sich befinden 存在する)

1 は最も簡単な例です。hat の直後に sich があります。

2 では im Laufe der Zeit 「時の経過とともに」が主題化されているため,主語が sich の後ろに移動していることに注意してください。このように主語が後ろにでてくるパターンは頻出であり,慣れておく必要があります。 3 は das が sich の後ろに移動している点で 2 と同じです。das は人称代名詞ではないことにも注意してください。

4 は 関係代名詞 die があるので*5,die の直後に sich があります。

5 は zu 不定詞なので, zu 不定句の最初に sich があります。

6 は das 「そのこと」が主題化されているのですが,主語が ich であるためそちらが優先されて,mich はその直後にあります。7 も同様に, 従属接続詞 dass がありますが,主語が sie であるためそちらが優先されて,sich はその直後にあります。

ちなみに dass sich というパターンではしばしば dass の /s/ が sich の /z/ に引っ張られて同化して /dazich/ みたいになるので,覚えておくとリスニングで戸惑わずに済みます。


さてさて,慣れましたでしょうか。再帰動詞はドイツ語では本当にたくさん出てくるので,読んでるうちに慣れると思います。なにこれ?と思ったときはまたここを参照し直してください。それではさようなら~ ヾ(❀╹◡╹)ノ゙❀

*1:たぶんレアですが,Sich selbst hat er das getan. のように再帰代名詞が機能的でないかつ,特別に焦点が当たっていれば置けると思います

*2:たとえば dass das Kind sich ... みたいなのはあり得ます,次の留意事項に関してはまず守られるはずですが

*3:文法的機能が再帰代名詞よりも強いということ

*4:フランス語の prendre soin に対応するアレです

*5:正確に言えば,補文標識 dass によってV2となる部分が埋まっているので