Heftiges Heft

heftig: 1) von starkem Ausmaß, großer Intensität 2) leicht erregbar, aufbrausend (von Duden)

2014 年以降の新時代ポップンと,その観測者

-r Zeitgenosse (-n/-n): 同じ時代を生きた人 (男性弱変化)

※ 文章としての流れを優先した結果,時系列が微妙にズレているところがあります。意図的です。
※ 書きたいことを全部書いてるだけなので,とても長いです。
※ 現在のポップンが心の底から好きな人は,そっとページを閉じることをおすすめします。

始まり

自分は Sunny Park の終わり際(2014 年前半)くらいから本格的にプレーを始めたプレイヤーだ。2014 年というと今から 10 年以上前ではあるが,1998 年からサービスをずっと続けている歴史の長すぎるこのゲームにおいては,古参を名乗るにはおこがましい気がするし,むしろ新参者と言った方が良いかもしれない。

撮影日時: 2014/04/26
当時からパラボーは大好きだった

正確に言えば,ちゃんと遡ると近場のスーパーに置いてあった AC16-18 を遊んではいたが,プレー頻度はかなり低く,アクティブプレイヤーとは全く胸を張って言えない状態だった。当時はまだ小さな子供だったからだ。

自分でも言うのもなんだが少し変わった子供だったので,ニコニコ動画のプレー動画とか 2ch のスレッドをちょくちょく見ていて,そこで当時(AC16-20)の盛り上がりを間接的には感じていた。PS2 で家庭用作品をそこそこ遊んでいたのもあって,ポップンの知識や認識力もそこそこついていた。

そんな状態で AC 版ポップンをサニパから遊び始めたので,自分はこのゲームのことを覇権音ゲーだと思って遊んでいた。

でも不思議なことに,覇権ゲームなのに同級生でポップンを真面目に遊んでいる人は自分しかいなかった。ホームの新筐体でラピストリアを遊んでいる人で記憶に残っているのは,自分ともう一人,一桁ナンバリング時代からプレーしている,自分よりふた回りくらい身体の大きくて,スコア力もクリア力も自分より高いおとなの人だけだった。

この頃は時代の転換期で,同年代の間で実際に人気を博していたのはスマホ音ゲーやセガ音ゲーだった。BEMANI 音ゲーはボルテ勢が何人かいるくらいで,同級生の中にポッパーは本当に誰一人として存在しなかった。こう言い切れるのは,ホームが比較的学校から近い位置で,本当にポッパーがいればお互い認知していたはずだからだ。

どうにか新しい音ゲーをプレーしている人と話題を合わせようとチュウマイをプレーしていた時期もあったが,舞は放課後ストライド [MAS 12] のスライドが一ミリも分からなかったし,ウニは WE 譜面と Aragami [MAS 13] (13.2) 以外に全然面白さを見いだせなかったしで,何も定着しなかった。そもそもこの 2 機種は混んでいたので,必然的に同じフロアのすぐ近くにある誰もやってないポップンばかり遊んでいた。

自分が始めた頃のラピストリアというバージョンは,システム面でもデザイン面でも大きく変更が加わったバージョンで,それはそれはとにかく不評の嵐で SNS はもう大荒れだった。

HS 細分化をはじめとしたオプション画面の大幅現代化,サドプラの導入,3 曲保証,EASY ゲージ導入,キャラがたくさん喋るストーリーなど,良いところもあった。ハリアイ絵柄の変更は,個人的には一時的な方針変更*1だと納得していたものの,否定的な意見が多数を占めていたし,キャラ背景の削除,新筐体の 16:9 画面を活かしていたプレー統計情報表示機能の削除,ジャンル名削除,稼働初期の旧筐体での処理落ち音ズレに長すぎるローディング時間,スコア配点の変更,選曲時に出てくる楽曲コメントの廃止などは,とてもじゃないが褒められるものではなかった。これらの大幅改悪,通称 "ラピスショック" で多くのプレイヤーが,潮が引くように消えていった。さらに最盛期世代の高齢化や,前述した音楽ゲームコミュニティ全体の流行の変化も重なり,人口はみるみる減り始めた。

それでも,自分にとってポップンは楽しいゲームだった。同級生にポッパーが一人もいなかろうが,ラピスショックが起きようが,でかいボタンをしばくだけで演奏体験ができるポップンは自分に合っている最高のゲームだ。最初はCSや動画サイトで知っていた曲のクリアを目指し,高難易度特攻や乱ノックを繰り返し,そうして気づいたら勝手に 49 残りリナまで埋まっていた。

撮影日時: 2015/09/26

ラピストリアの次の作品のエクラルで印象的だったのは,ボルテのように公募で多くの楽曲(40 曲)を入れて,新しい風を吹かせていたことだ*2。採用者の中から自分が好きなコンポーザーさんを何人か挙げると,a_hisa さん,梅干茶漬けさん,O-SE さん,などなど。

いきなり公募で大量の曲を入れることには反感の声もあったが,ポップンの公募なので参加者はポップンファンが当然多く,ポップンらしい曲が多く集まり,楽曲自体はけっこう好評だった。ただキャラはハリアイ絵もアニメーションも全て過去曲の使い回しで,そこに関しては手抜きだと叩かれていたし,そもそも公募自体の背景に予算不足があるのではと懸念する声もあった。

公募は 2 回目も開催されたがそれ以降は音沙汰がなく,AC20 の公募の時のように合格した人がその後公募と関係なく書き下ろし曲を提供することもほぼなかった。本城ダイキチさんの "カラフルトイズ・ワンダーランド" があまりに好きすぎて続編をずっと待っていたが,別になにも来なくて残念だった。*3

エクラルは稼働から 4 ヶ月ほど経ったころに BGM やスキンに変更が入った。選曲画面などで写っていた背景の青空は,夕方の空になっていた。きっとこれがいつか夜になって,そこでなにが起きるのかなと,大層ワクワクしていた。

ところが,夜は一生訪れることはなかった。エクラルはラスボスもエンディングも不在のまま,勝手に強制終了した。アーケードゲーム事業の管轄が変わったことによる人事異動の影響だとか噂されているが,プレイヤーからしてみれば知ったこっちゃなかった。突然公募を始めたと思ったら公募もストーリーも完結しないまま突然作品自体が打ち切られ,正直言って訳の分からないバージョンだったし,心の底からガッカリした。

エクラルのラスボスを務めるはずだった НУМЛ は,次の作品のうさ猫の最初の解禁マップに雑に置かれることとなった。本来どういう演出が予定されていたのかは未だに明らかになっていないし,多分今後説明されることもないだろう。真相は関係者のみぞ知る。

終わりの気配

実はスケールアウトをクリアした頃にはポップンの頻度は少し減っていて,解禁が追いつく程度+αくらいの頻度でしかプレーしていなかった。ポップンで培った地力を転用して同級生たちと競い合うボルテが面白すぎたのだ。ポップンのゲームとしての楽しさよりも,身近にいる友達と話ができることの方が自分の中で勝ってしまっていた。結局,自分もなんやかんや時代の流れに飲み込まれていた。

高難易度厨
ちなみに現在のチェイン数だと988くらい

それでラピストリア終わり際から 3 年くらい自分のメイン機種はボルテだったが,色々あってうさ猫後期(ナビフェス始めくらい)にポップンに戻ってきた。本気を出して未クリア埋めに取りかかると,リナシタもポッパーズもクリアして 49 は無事全埋めできたし,50 もエンジェとダージュがクリアできて喜んでいた。

でも戻ってきたのと同じくらいのタイミングで,ポップンは不穏な動きを見せ始めた。

音ゲーなのにオリジナル楽曲の割合が減った。
公式サイトの楽曲コメントが新規で出なくなった。
キャラゲーなのに新キャラが出なくなった。
カードの新弾もついでに打ち切られた。
同時期に BEMANI Sound Team 騒動*4も起きた。

最盛期からは想像もできないほどの凋落だった。内部事情は分からないが,上からの圧力で予算を大幅に削減されたのだと推測される。

たった一人のプレイヤーの行動程度で何か変わるわけでもないのに,あの時ボルテなんかに鞍替えしていなければ……という後悔の念が今でもある。(もっともボルテのおかげで回り回って今の自分は "商業音ゲーで譜面を作る側" にわずかながら仲間入りできているので,無駄な時間だったというわけではないのだが)

この時期は全国的にゲームセンターが潰れ始めた時期でもあった。自分の活動範囲でパッと思いつくだけでもラピストリアやエクラルを遊んでいた場所は 6 個くらい潰れて,ポップンを遊ぶためにかかる移動時間は 5 倍くらいになった。商業施設の端っこにある小さいゲームコーナーはかつてと違い,基本どこも太鼓と(あって)ゲキチュウマイくらいしか置かなくなった。

半年くらい経ってうさ猫がラスボスで最強譜面*5を出してしれっと歴史を塗り替えて 1 ヶ月ほど経ったころ,急に新作が告知され,その翌日に新作が稼働した(新作と言っても実質スキン違いのうさ猫なのだが)。

異例のスケジュールで登場したシリーズ 20 周年記念の新作タイトルの名前は "peace" だった。初代ポップンから代々引き継がれてきた,エンディングの最後に流れる文字列だ。ちなみに一応書いておくと,ここでの peace の意味は(エンディングの最後に流れるということから考えて)名詞の "平和" ではなく,スラングとして使われる "さよなら" の方だろう。

peace はひたすらに懐古主義の作品だ。ハリアイ絵は 3 作続いたラピストリア絵柄を捨てて,サニパ以前のものをキラキラさせたようなテイストになった。解禁イベントは前半がミミニャミが過去のポップンワールドにタイムスリップして過去から楽曲や譜面を手に入れるというストーリーで,後半は過去にタイムスリップして過去作の解禁イベントで楽曲や譜面を手に入れるというものだった。過去の曲を意識して作られた続編的楽曲,N 譜面までしかない楽曲の追加譜面,長らく移植される機会のなかった家庭用作品の楽曲などが多く収録され,よく言えば見どころの多い記念館,悪く言えば鮮明な走馬灯のようなものだった。

かわいい

懐古主義というコンセプトの実現は中途半端だった。過去作の振り返りをテーマにしているのに,過去作の公式サイトは peace 稼働と同時期にしれっと削除され,Web Archive で見るしかなくなってしまった。時を超えてどんな思いで続編曲を制作したのか知りたいのに,peace に楽曲紹介ページは存在しなかった。続編曲なのにジャンル名が廃止されているせいで,"メロコア2" や "パーカッシヴ3" といった文字列を筐体上で見ることも叶わなかった。

前半の解禁イベントのラスボス曲(25 o'clock the WORLD)の直後に出てきたのは,古くからこのゲームに携わってきた人たちが集まって制作した "さよならのうた" だった。エンディングにふさわしい曲調に乗せられた歌詞は,どう読んでもサービスを閉じるつもりで書かれたとしか思えない内容だった。本当に終わるつもりなんだな,って思った。

いつかぼくらは さよならを言う
楽しい夢だったねと 笑えるかな 笑いたいな

さよならさえも 言えないのなら
今そのぶんの思いをこめて うたうんだ

このうたを 思い出すとき
楽しいうたと 思えるように

でも,こんなので終わるわけないって信じていたし,そうしないと気が気じゃなかった。決して無根拠なわけじゃない。自分の頭の中では,ずっと AC16 のエンディング曲であるアフターパーティーの曲ページの wac のコメントがぐるぐるしていた。(以下,一部抜粋)

ポップンがもし本当に終わる時には、もっと往生際悪く、見苦しく、みっともなく、ぼろぼろの状態になってでも続けようとしますよ、きっと。
この曲のように綺麗になんて終わってあげないんだからね。

ちなみに,peace の終盤にはゲームセンターにオフライン化キットが届いていて, NEW pop'n music Welcome to Wonderland!に完全移行する予定だったという噂がある。ご存知の通り,該当作品は不評のあまり結局販売されることはなかったのだが。(……Welcome to Wonderland の計画が頓挫したから本編作品が無事に続いたってこと?)

peace は過去のコンテンツを擦ることを徹底した結果,そこそこ出戻り勢を獲得した。妖怪バンドこと Deuil の新曲やクラシック8(EX)の解放,アンセムトランスの続編なんかは Twitter 上で大きな話題を呼び,過去に遊んでいたプレイヤーからの反応も多かった。どうせ今作で終わるのならなんでも良いみたいな自暴自棄なノリで高難易度譜面が大量投入*6されたりもして,結果的に高難易度を遊ぶプレイヤーも喜んだし,僕もたくさん遊んだ。そういった策が効いたのかどうかは分からないが,peace で終わる予定だったであろうポップンはなんとか持ちこたえ,新作の解明リドルズに無事移行した(新作と言っても実質スキン違いのうさ猫なのだが)。

延命処置

持ちこたえたからといって,予算が出ないことに変わりはなかった。IIDX や SDVX が元気にアップデートを続けたり BPL を開催したりしているのとは大違いだった。

解明リドルズは,自分が色々あって離れていた(解禁が普通に間に合っていなかった)ので印象が薄いことを抜きにしても,正直微妙な作品だった。オリジナル曲の割合は少なく,移植・版権や UPPER 譜面で場をつないでいるような作品だった*7。版権は誰も知らない曲がよく入っていたし,版権曲の大量 UPPER 追加なんかは楽曲側にお金をかけられないが故の苦肉の策にしか見えなかった。peace の頃なら追加 UPPER 譜面は懐古主義の一環として受け入れていたが,とっくに peace は終了しているのだから,適当に人気曲に UPPER を出すのは手抜きだとしか感じられなかった(ハイパーチャイニーズポップとか)。新キャラは 1 人も出ず,解禁イベントのイラストに登場したウニ,アリ,謎の外国人 "BEN" が新キャラとか言われる始末だった。

解禁イベントは一枚絵の謎を解いたりランダムに指定される条件を満たしてゲージを進めるというもので,peace にもあったキャラ同士の掛け合いやストーリー的なものや演出は全く用意されず,コンテンツとしての魅力は全然感じられなかった。ラスボス曲の ΔΟΓΜΑ も背景は一切説明されず,実質 m@sumi さんが良い曲を書いて帰っていっただけだった。

しばらくして解明リドルズは Slime Molds というエンディングでも何でもないオリジナル曲を残して新作の UniLab に移行した(新作と言っても実質スキン違いのうさ猫なのだが)。

UniLab では Undertale とのコラボで新規アレンジ楽曲+ギタドラからの移植アレンジ楽曲と新キャラ(sans)が入り,ポップン外でも話題になるほどだったし,気合いの入りように僕も喜んだ。ただ,それを除けば正直前作と似たようなものだった。四半世紀を祝う大切な 25 周年記念日には,公式 Twitter で当日の 17 時になって 1 枚絵がようやく投稿されただけで,公式が 25 周年のことを忘れていて慌ててツイートしたとまで言われている。ラスボス曲では久しぶり(4 年ぶり)に新規オリジナルキャラのエルムが登場して注目が集まり,そこは解明リドルズとは大きく違う点だった。(新キャラが 1 つ増えた程度で "大きく違う" って書くのも妙な話だけれども)

急に別機種の話をするが,UniLab の前半くらいの時期にオンゲキで Starlight★Limited という楽曲が登場した。これに関しては自分の口から説明するより聞いてもらった方が早いので,知らない方は動画を見てほしい。ちなみに作曲者は片岡嗣実さん。

初めて聞いたときはとても感動したと同時に,どうしてこれをポップンで遊ばせてくれないのかと本気で怒っていたが,現実的に今のポップンの状況をかんがみれば仕方のないことだった。どうしてもこの曲をやりたくなってオンゲキを始め,譜面が思いの外高品質で面白かったので半年ほどそこそこ真面目に遊んでいた時期もあった。

ポップンのノリで押してたら稼げる譜面

UniLab という作品自体はリドルズと大差ないレベルだったが,プレイヤーとしての自分は Twitterポップンを積極的に遊んでいる人と多く交流を持ったりスペースで話したりするようになり,今までで一番楽しい作品になった。地力の近いとあるポッパーと仲良くポップンクラスを上げ始めたのもこの時期だった(もう追い抜かれちゃったけど)。

nitrone7.hatenablog.com

しばらくして UniLab は The Metalist というエンディングでも何でもないオリジナル曲を残して現行最新作の Jam&Fizz に移行した。

Jam&Fizz はスキン違いのうさ猫ではあるものの,システム面での新要素がいくつか追加された。公式サイトの楽曲検索機能,10 年ぶりのEXTRA STAGE 楽曲,プレーオプション保存機能など。その後 8 年ぶりのインターネットランキングや仕事猫(現場猫)とのコラボキャンペーンなども開催され,今作はやる気ちょっとあるのかもね,と自分を含め多くのポッパーが感じていた。

しかしサニパのわいわいポップン動物園を簡略化したような単調な解禁イベントが始まってみれば,新キャラは一切出ないし,オリジナル曲の割合は少なく,移植・版権や UPPER 譜面も多く,結局あまり変わらなかった。新規キャラアニメーションは今のところいつも通りミミ/ニャミしか出ていないし,担当曲も今のところ出ていない。追加版権曲のメズマライザーは,IIDX では普通にキー音が切られているのに,それより後に入ったポップンではキー音なし譜面で意味不明だった。

こんな状況で,楽しいか楽しくないかと訊かれたら,……そもそものゲーム性自体が楽しいので普通に楽しいんだよな〜。それでも心の底では不安も少なからずあった。

ポップンがでかいボタンをしばいて演奏体験ができる最高のゲームなのは不変の真理なのだが,新キャラが普通に出ていて,オリジナル曲も毎作たくさん出ていたし,プレイヤーもそこら中にいたような最盛期を少しでも知っている身からすると,あまり直視したくないような現実がかなり長い間続いていた。

今になって振り返ってみると,ラピストリアはかなり面白かった。多すぎる問題点に一旦目をつむれば,オリジナル楽曲も新キャラもちゃんと追加されていたし,ストーリーで世界観が示され,そのストーリーが楽曲やキャラとリンクしている,気合いの入った作品だった。

よくこのゲームは古参がやたら多い割にアクティブプレイヤーが少ないと揶揄されるが,そもそも過去のプレイヤーにとって,運営が活動的でない現代のポップンは魅力的なのだろうか。設置台数だって少なくなってアクセスも悪くなっている。そこらへんの商業施設の上の階とかに行けば置いてあった時代なんて,とうの昔に終わってしまっている。

ある意味,悪いことではない。プレイヤー数が減少したのを受けて,注ぎ込むエネルギーを少なくすることでサービスの存続自体を目的とする一種の "延命処置" に舵を切っている,とも取れるからだ。26 年,いや,もうすぐ 27 年もサービスが続いているだけで上出来とも言える。実現可能な範囲で 1 週間に 1 回の楽曲追加ペースを維持しているし,むしろ頑張っている方ではある。

それに,このゲーム自体の楽しさが失われているわけでもない。素晴らしいオリジナル曲の数々は今でも当時のまま遊べる。IIDX と違って,版権曲や版権ボーカルのオリジナル曲以外は(いくつかの例外*8を除いて)削除されずに残っている。UniLab のときにナンバリング時代の未プレイ曲をひたすら片っ端から遊んで,良い曲や神譜面を見つけるのはとても楽しかった。

現代ポップンでもクオリティの高いオリジナル曲は多く出てきている。そんな楽曲たちもプレイヤーが少なくなったからか,話題に上がりにくくなっているのは非常に残念だが。みんなもっと夜虹とか夏色のセーブデータとか Que Sera Sera とかの話してほしい。

そういった楽観的な見方もあるとはいえ,このゲームは延命処置をずっと続けているという現実も,やはり見て見ぬふりをしているわけにもいかなかった。サービス終了目前という状況ではないものの,音楽ゲーム業界という斜陽産業の中でポップンの筐体数とユーザー数は確実に減少していき,確実に幕引きに近づいている。先ほど載せたアフターパーティーの楽曲ページの wac のコメントの通り,「往生際悪く、見苦しく、みっともなく、ぼろぼろの状態になってでも」続けようとしている状態に近づいているのかもしれない。

延命処置を続けるゲームに新筐体が出る希望なんて,抱こうとも思わなかった。考えるだけ苦しいからだ。

そうして,自分はゆっくりと近づく終わりに怯えつつも,そんな不安を忘れるくらい楽しくこのゲームを遊んでいた。

新筐体

2024 年の夏ごろ,KONAMI から GITADORA の新筐体の話が出てきた。GITADORA に新筐体が出るということは,アクティブプレイヤー数的にもプレイヤー層的にも GITADORA に近いポップンにも新筐体が出ることを期待してもよい,ということだった。

しかし,2025 年 3 月に登場したGITADORA 新筐体はご存知の通り,大失敗も大失敗だった。これから徐々に巻き返すかもしれないが,少なくとも初動は最悪だった。

実は自分は新筐体になる 1 ヶ月前に急にギタフリを始めて,そこそこハマっていたのだが,アリーナモデルでは 8 分のオルタすらまともに入れられず,3 クレしか触らずに自分のギタフリ人生は終了した。年度末に無理やり生産するために開発を急いだせいか,入力遅延も応答速度も音ゲー向きではない 60 Hz 駆動で 50 インチ 4K モニターと処理落ちによる判定揺れと遅延が組み合わさって爆誕してしまった GITADORA 新筐体は,WGC の店長が「 譜面通りに叩くと何も光らない、全然楽しくないゲーム」「音ゲーを遊んでいる人が作っているの?」と評するほどだった。

ゲームが成立してない

SNS では GITADORA スタッフに怒りの声が大量に殺到していた。これはポップン勢にとっても全くもって対岸の火事ではなかった。次にむちゃくちゃにされるのは僕たちの機種かもしれない,明日は我が身だ,と。

そこに舞い込んできた,ポップン公式からの内容不明のロケテストの告知。皆がどう思っていたかは分からないが,少なくとも自分は期待値を低めに見積もっていた。何が飛んできても落胆しないためだ。

そして 2025 年 7 月始めに開催されたロケテスト。怯えながらその蓋を開けてみると,実際に飛んできたのは予想を上回る,100 点満点の完璧な筐体で,全ポッパーが喜んだ。Twitter のタイムラインに流れてくる情報を見ては,感動して変な声を上げる人になっていた。けれど同時に,"どうして今までやる気のなかったポップンチームがこんなことを……?" と,山吹につままれたような思いでもあった。

ロケテスト@千日前ラウワン

8 月に入ってから,ウェブニュースサイトで新筐体に関するインタビュー記事①インタビュー記事②が公開され,プロデューサーが Des-ROW,ディレクターが wac であることが明かされた。どちらも古くからこのゲームに携わってきた人で,ポップンに対する愛は計り知れない。そんな人たちが設計した新筐体なのだから,プレイヤーの需要もちゃんと理解してくれているはずだ。そう納得して安心した。

彼らの目的は,このゲームを以前のような盛り上がりの波にもう一度乗せることなのだと思う。Des-ROW 氏はインタビューでこう述べている。

外から見ていて「まだ変えないのかな、新しいの作らないのかな……」とずっと思っていて。「そろそろやろうよ」なんて思いながら月日が経って……。自分が新筐体を作れるような立場になったら絶対やりたいと思ってました。で、なったから「さぁやるぞ」って始まりです。

きっと,衰弱していくポップンの姿を見てどうにか助けを差し伸べたくても,立場上何もできなくて歯がゆい思いだったのだろう。

崩壊にゆるやかに向かっていた機種で遊んでいた自分にとって,彼らは救世主のような存在だ。この人たちのおかげで,ようやく安心してこのゲームを遊ぶことができるようになった。

望みすぎかもしれないけれど,昔やっていた人や新しい人が新筐体で興味を持ってこのゲームを始めてくれて,自分が直接経験していない "最盛期" がもう一度再現される形になってくれたら,これ以上嬉しいことはない。

Des-ROW さんへ。wac さんへ。救ってくださって,本当に感謝しています。これからも,このゲームを盛り上げていってください。

思い出は 絶えず星たちと彷徨う

付録: ナビフェス以降の新規書き下ろしキャラアニメーション一覧

太字は新キャラ。

うさぎと猫と少年の夢

  • 神楽 (乞い祈みの撫子)
  • 崇徳鞍之丞 (人妖絵巻其の三)
  • タタン (フォークトロニカREMIX) ※FEVER アニメのみ MZD が登場
  • ファティマ (スパニッシュバラッドREMIX) ※同上
  • エステル (The last of world music)

peace

  • ミミ/ニャミ (ローンチ, PM is Here!)
  • the TOWER (スケールアウトREMIX) ※ネガポジ反転
  • ミスターKK (パーカッシヴ3)
  • Deuil (ヴィジュアル6)
  • 鈴花 (六花美人)
  • 烈 (BLAZE∞BREEZE)
  • ノルニル (25 o'clock the WORLD)
  • MZD (Popperz Chronicle)

リドルズ

  • ミミ/ニャミ (ローンチ, ブレイヴアンセム pop'n ver.)
  • イオ・ロア (ブレイヴアンセムADVENT)
  • ミミニャミ (ブレイヴアンセム原曲)

UniLab

  • ミミ/ニャミ (ローンチ, ラブケミ)
  • サンズ (アンテコラボ×3)
  • ポエット(ma plume)
  • エルム (F/S)
  • ノネット (ポップンポップ3, Lively移植)

Jam&Fizz

  • ミミ/ニャミ (ローンチ, 担当曲なし)
  • MZD (THX 4) ※MZD(ムラクモ)の改変

*1:そもそも設定上は,ポップンワールドとラピストリアという名前の世界があって,ラピストリアでは絵柄が変わる,というものだったはず。なぜかエクラル以降も引き継がれていたけど。

*2:AC20 でも公募は開催されていたが,採用されたのは全 7 曲と,かなり枠が狭く設定されていた。

*3:それはそうとカラトイ収録の 9 年後に本城ダイキチがとあるコンポーザーの別名義であることを知り,衝撃を受けすぎてその場で片っ端からその人の曲を探して聞きまくった話とかはある。

*4:一時期,KONAMI 所属のアーティストが関わった新曲の名義に "BEMANI Sound Team" だけが記され,実際のコンポーザー名が隠されていたという事件。表面的にはコンポーザーの外部への露出を減らす意図だと思われるが,この時期を境にポップンもおかしくなり始めたので,何か関連があるんじゃないかと疑っている。

*5:ラスボス(o†o)とその前座(辿る君を超えて)はトリを飾る立場のはずなのに,新規キャラアニメーションは用意されず使い回しだった。

*6:peace で追加された 50 は全部で 8 個。明らかに遅刻組のインボルクUPPERも含めれば9 個。

*7:あるバージョンについて "稼働日数÷オリジナル曲" を計算すれば "オリジナル曲の追加密度" がわかる。PARTY♪ は 6.0,ラピストリアは 8.3,解明リドルズは 14.2 で,登場ペースが半分未満になっているのが分かる。計算ミスがあるかもしれないが大きくは変わらないと思う。

*8:ウインドギターなど